<インサイド> アステラス安川会長が総スカン/薬価議論の中医協で失言

2026年2月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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失言で各方面から総スカンの日薬連の安川健司会長(アステラス製薬会長、HPより)

製薬の業界団体である日本製薬団体連合会(日薬連)トップの安川健司会長(アステラス製薬会長)が舌禍事件を引き起こした。病院で処方される医薬品の価格(薬価)などを議論する厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で「我々は営利団体」「ボランティアではない」と言い放ち、厚生労働省や日本医師会(日医)をはじめ各方面から総スカンという状況に陥っている。「これでは製薬会社が利益ばかりを追い求めているイメージを与えてしまう。余計な発言だった」(競合首脳)との声は身内である業界からも湧き出ており、信頼を失いかけている。

失言があったのは2026年度からの薬価を決めるための議論をしていた昨年12月10日の中医協薬価専門部会。政府は膨らむ一方の社会保障費抑制のための“調整弁”として、製薬企業の利益を左右する薬価をあの手この手で削減しようとするが、それへの反論を行う中で飛び出した。

安川会長は出身であるアステラスをはじめ、国内製薬会社の多くが「株式会社」と訴え、「自己資本利益率(ROE)5%を確保できる」薬価が必要と見直しを迫った。しかし、その赤裸々な物言いは「自己中心的」(厚労省幹部)と不興を買い、むしろ出席者はしらけるばかり。薬価の原資は社会保障費という公金であり、「それで稼いでいるにも関わらず、何を言っているのか」(医療業界関係者)と逆に批判を招いた。

本来なら同席していた同じ製薬業界の業界団体・日本製薬工業協会の宮柱明日香会長(武田薬品工業ジャパンファーマビジネスユニットプレジデント)がフォローするべきなのだが、特段の反応はないまま。ある業界関係者は「宮柱さんは40代半ばで武田国内事業責任者を務める逸材だが、営業での経験が中心。こういう政治的な場での“反射神経”は乏しいのだろう」と同情する。

この安川―宮柱コンビの任期は27年5月まで。別の大手製薬首脳は「先が思いやられる」と頭を抱える。

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