2026年8月号 LIFE [高血圧ビジネス解剖(上)]
2013年、日本の医学界を揺るがした「ディオバン事件」を覚えておられるだろうか。降圧薬バルサルタン(商品名ディオバン)をめぐり、京都府立医大などの臨床試験データをスイスの製薬大手ノバルティスファーマの社員が操作し、誇大広告に活用した――。薬機法違反で起訴される――のちに無罪が確定するが、製薬マネーと大学医学部の癒着を白日の下に晒したこの事件は、この国の医療不信を決定づけた。ノバルティスは日本中から袋叩きに遭い、業界の「前科者」となった。あれから十余年。同じノバルティスが、件の「バルサルタン」に新デザインを施し、今度は一切の違法行為なしに日本の承認体制を攻略してみせた。年商1千億円超のブロックバスターの爆誕である。「江戸の恨みを江戸で晴らす」とは正にこのことだ。その新薬とは「エンレスト」、一般名を「サクビトリルバルサルタン」という。その名が示す通 ………
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